- ピッポと鳴く、長い尾をした赤い綺麗なアトリ類。
- ■形態
- 雄夏羽は全体が紅色で、頭上、耳羽、喉は白く、頭上と背には黒褐色の縦斑がある。翼は黒褐色で、大雨覆、中雨覆の先端に白斑があり、2本の白い翼帯となって見える。上尾筒は紅色。尾は長く黒く、外側尾羽2~3枚に大きな白斑がある。下腹から下尾筒は白い。嘴は太く短く湾曲し、薄い灰色。脚は暗赤褐色。
雌夏羽は全体が淡い黄褐色で頭部から背、喉から胸、脇にかけて黒褐色の縦斑がある。
冬羽では雌雄とも夏羽より淡色になり、雄は頭部から顔、背まで褐色味を帯びる。
- ■鳴き声
- 囀りは「フィー、チリチィチョッ、チイチョ」等で、地鳴きは「ピッポ」等。
- ■行動
- 暗い林の中には入らず、また、広い草原にも出ない傾向がある。
- ■採餌
- 枝から枝へ飛び移ったり、地上を跳ね歩いたりして昆虫類を探す。越冬期は地上で草の実を拾って食べる。
- ■繁殖
- 産卵期は5~7月。平地の雑木林や、疎林のある草原などで、低木の0,8~2m程の高さの枝の上に、枯れ草、細根などで深い椀型の巣を作る。産座には獣毛、綿、枯草の繊維、羽毛などを緻密に敷き詰める。コバルト色の地に褐色の少量の斑のある、長径約1.9cmの卵を、通常3~5個産卵する。
- ■名前の由来
- 江戸時代より「べにましこ」「てりましこ」「こましこ」「さるましこ」の名前で知られていた。「ましこ(猿子)」は雄の羽の色が赤い事から。
- ■亜種
- 3亜種ある。
シベリア南西部およびカザフスタン北東部からモンゴル北部および中国北中央部で繁殖する亜種C.s.sibiricus、
シベリア東部及び中国北東部で繁殖する亜種C.s.ussuriensis、
樺太、千島列島および北海道で繁殖する亜種ベニマシコ(C.s.sanguinolentus)。
- ■分布
- 中央シベリア南部、モンゴル北部、中国東北部、中国中部、朝鮮半島、ウスリー、サハリンに分布する。
日本では亜種ベニマシコが北海道と東北北部で夏鳥として繁殖し、本州、四国、九州に冬鳥として渡来する。北海道では少数が越冬する。
- ■福岡での事例
- 福岡では冬鳥で、10~4月頃少数が見られる。やや局地的。
【室見川】2003年3月に曲淵で観察。
【志賀島】2015年1月に記録がある。
【糸島市】2004年3月に二丈森林公園で観察。
【筑紫野市】2005年2月、2011年2月に天拝湖で観察。2006年1月に山神キャンプ場で記録がある。
【大野城市】2020年2月に牛頸ダムで記録がある。
【福津市】2020年2月に久末ダムで記録がある。
【宗像市】2020年2月に大島で記録がある
【中間市】2023年1月に遠賀川中島で観察。
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