- 渓流で尾をピンとあげて綺麗な声で鳴く、褐色の小鳥。
- ■形態
- 雌雄同色。全身が茶褐色で、眉斑は細く、淡褐色。背から尾までは、黒褐色の横斑がある。尾は短い。嘴と足は褐色味を帯びた肉色。
- ■鳴き声
- さえずりは「ビーチィピルルル」等と大きな声で複雑に鳴く。地鳴きは「チャッ」「チッ」。
- ■採餌
- 岩や倒木の隙間をすばしっこく移動し、昆虫やクモ等を探して餌にする。
- ■繁殖
- 一夫多妻制で、オスの縄張りの中に、複数の巣を作る。産卵期は5~8月。木の根元、岩の隙間などに蘚類で球状の巣を作る。通常4~6個産卵し、抱卵日数は14~15日。巣立ちまでは16~17日。
- ■亜種
- 28亜種がある。
アイスランドで繁殖する亜種T.t.islandicus、
ファロス諸島で繁殖する亜種T.t.borealis、
シートランド諸島で繁殖する亜種T.t.zetlandicus、
フェアー島(シートランド諸島の南方)で繁殖する亜種T.t.fridariensis、
セント・キルダ島(スコットランド西部に遠方のOuter Hebrides
)で繁殖する亜種T.t.hirtensis、
Outer Hebrides except St. Kilda (スコットランド西方)で繁殖する亜種T.t.hebridensis、
アイルランドおよびブリテンで繁殖する亜種T.t.indigenus、
ヨーロッパの主要部で多く繁殖する亜種T.t.troglodytes、
アフリカ北西部、Balearic諸島およびスペイン南部で繁殖する亜種T.t.kabylorum、
コルシカおよびサルディニアで繁殖する亜種T.t.koenigi、
リビア北東部で繁殖する亜種T.t.juniperi、
キプロス、トルコ西、南部からイスラエル北部で繁殖する亜種T.t.cypriotes、
クリミア半島、トルコ北部、コーカサスおよびイラン北、西部で繁殖する亜種T.t.hyrcanus、
アフガニスタン北東部からアジア中央部の山地で繁殖する亜種T.t.tianschanicus、
イラン北東部からウズベキスタン南部およびアフガニスタン北西部で繁殖する亜種T.t.subpallidus、
アフガニスタン南東部およびパキスタン西部で繁殖する亜種T.t.magrathi、
ヒマラヤ西部で繁殖する亜種T.t.neglectus、
ヒマラヤ中央、東部で繁殖する亜種T.t.nipalensis、
中国北中央部で繁殖する亜種T.t.idius、
中国西中央部で繁殖する亜種T.t.szetschuanus、
中国南部およびミャンマー北東部で繁殖する亜種T.t.talifuensis、
シベリア南東部、中国北東部、朝鮮および対馬で繁殖する亜種T.t.dauricus、
カムチャッカ半島およびコマンダー諸島で繁殖する亜種T.t.pallescens、
千島列島北部で繁殖する亜種T.t.kurilensis、
千島列島、樺太および日本で繁殖する亜種モソサザイ(T.t.fumigatus)、
伊豆諸島で繁殖する亜種モスケミソサザイ(T.t.mosukei)、
屋久島および種子島で繁殖する亜種オガワミソサザイ(T.t.ogawae)、
台湾で繁殖する亜種T.t.taivanus。
- ■分類問題
- 大東諸島には亜種ダイトウミソサザイ(T.t.orii)が分布し、絶滅したものと思われていたが、現在不明。
- ■分布
- ユーラシア、北米大陸の温帯から亜寒帯にかけて広く分布し、北部のものは冬季南に渡る。
日本では亜種ミソサザイが留鳥として九州以北に分布し、冬季に暖地へ移動するものもいる。他に伊豆諸島には亜種モスケミソサザイ、屋久島・種子島には亜種オガワミソサザイが留鳥として分布する。
- ■福岡での事例
- 福岡でも留鳥。
【室見川】繁殖期に源流の八丁川で観察。
【今津】秋の渡りの時期に太郎丸で観察されている。
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