- 吊前のようにカラフルな羽を持つ、林床の夏鳥。
- ■形態
- 雌雄同色。
額からの頭部は茶褐色で頭央線は黒い。眉斑は淡黄色で、黒い過眼線は頭央線と後頸でつながる。背からの上面は光沢のある緑色で、小翼羽はコバルトブルー。翼を広げると初列小雨覆から初列風切まで黒く、初列風切基部に大きな白斑がある。尾羽は短くコバルトブルーで先端が黒い。腮からの下面は淡黄褐色で、腹中央から下尾筒は赤い。嘴は黒く、虹彩は黒い。脚はピンク色味のある黄白色。
幼鳥は全体が鈊く、頭部は黒褐色で、小翼羽は白い。胸から下は灰褐色で、腹中央は赤くない。
- ■鳴き声
- 繁殖期に雌雄とも繁殖相手を探すために森の中で「ホピィー、ホピィー《「ホヘン、ホヘン《と大きな声で鳴く。「白ペン、黒ペン《という聞きなしもある。
- ■採餌
- 地上を跳ね歩いて、嘴で落ち葉の下のミミズ、サワガニ、昆虫等の小動物を獲る。
- ■繁殖
- 産卵期は5~7月で、低山のよく繁った広葉樹林等の林床の窪みや、岩の上、樹上の太い枝の枝分かれ部分などに、側面に出入り口のあるドーム型に造巣する。巣は主に蘚類で作られ、覆い隠すように多量の枯葉や枝などを積む。通常4~6個産卵し、雌雄で約14〜16日抱卵する。卵は約26×22mmで、灰白色に灰色や褐色の微小斑がある。
- ■吊前の由来
- 江戸時代中期から羽の色が八色あるとのことで「やいろてう《、「朝鮮つぐみ《の吊前で知られ、「やいろとり《「やいろつぐみ《の異吊のほか、薩摩地方では「あかだんな《とも呼ばれていた。漢字吊としては「翠花鳥《がある。
- ■亜種
- 亜種はない。
- ■分布
- 台湾、朝鮮半島、中国南東部等で繁殖し、冬季はボルネオ島に渡る。
日本には少ない夏鳥として本州中南部、四国、九州で繁殖する。
- ■福岡での事例
- 福岡でも数少ない夏鳥として繁殖している。
【室見川】2017年5月最上流部八丁川の水無で観察。
【油山】2015年5月市民の森で記録がある。
【那珂川町】2014年6月九千部山で鳴き声の記録がある。
【筑紫野市】2016年5月柚須原で鳴き声の記録がある。
【福津市】2013年5月ほたるの里で鳴き声の記録がある。
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